もし自分の中にある苦しみを終わらせ、悩みのループから抜け出すことができたとしたら、いかがでしょうか?
苦しみとは以下のようなものです。
- 仕事、人間関係、お金、将来への不安
- 「どうせ自分なんて…」というネガティブな思考、感情
- 過去に起きた出来事、人間関係への後悔や執着 など
もしも心当たりがある場合は、少し立ち止まって、自分の心に問いかけてみてください。
「その悩み、本当に事実ですか?」
このシンプルな問いかけは、「自分の中にある苦しみを解放し、終わらせる」ことを目的として、バイロン・ケイティさんが開発した「The Work(ザ・ワーク)」というメソッドの中にある質問です。
この記事では「私たちの苦しみの根本原因は、現実そのものではなく、現実に対する私たちの思考である」という考えに基づき、思考を解放するために作られた「4つの質問」と「置き換えの質問」を紹介します。
- The Workの開発者 バイロン・ケイティさんについて
- 思考を解放する「4つの質問」「置き換えの質問」について
- 苦しみを解放するためのポイント「事実と思考の区別」について
バイロン・ケイティさんとThe Workについて
「4つの質問」「置き換えの質問」を実践しやすいように、まずはバイロン・ケイティさんが、どのように「The Work」を創ったのかを紹介します。
バイロン・ケイティさんについて
バイロン・ケイティさんは、1942年生まれのアメリカ人女性です。著者や講演家としても活動し、The Workの普及活動(ワークショップを開催、プログラム開発、認定ファシリターターの育成など)をしています。
The Workは、世界中で何百万人もの方が実践し、シンプルなのに、とてもパワフルな効果が期待があると評価されています。
そんなThe Workは、バイロン・ケイティさんが経験した、10年にも及ぶ苦しい時期を経て誕生しました。
- 秘書として働いていた30代前半に、ひどいうつ病になった
- 43歳までの10年間、うつ病の症状にずっと苦しんでいた
- ベッドから起き上がることができず、日常生活を送るのも難しかった
- 何もやる気が起きず、エネルギーが全くなかった
- 精神的な苦痛(どうしようもない絶望感や苦しみ、死にたいと思う気持ち など)など
うつ病に悩んで10年近く過ぎた43歳の時、「私たちが抱えている苦しみの本当の原因は、実際に起きたことではなく、そのことについて私たちがどう考えているかだ」ということに気づきます。
そこから「私たちの苦しみの根本原因は、現実そのものではなく、現実に対する私たちの思考である」という考えがThe Workの根幹になりました。
その後、「苦しい・辛いと感じる考えを見つけて、問いかけることで、苦しみから解放される方法」として、The Workを創り上げたのです。
参考動画:バイロン・ケイティさんによるthe workの解説
The Workの「4つの質問」と「置き換えの質問」
The Workの目的は、「苦しい・辛いと感じる考えを見つけて、問いかけることで、苦しみから解放される」こと。
そのために必要な「4つの質問」と「置き換えの質問」について見ていきましょう。
「4つの質問」について
4つの質問を使いやすくするために、各質問の目的・回答例を紹介します。
イメージしやすいように「私がお金を稼ぐ能力、才能がない」という思考を題材にします。
質問1.それは本当ですか?
この質問は「はい」か「 いいえ」 で答えますので、回答例は以下になります。
「はい、そう思います」
「いいえ、そうは思いません」
- 思考で信じていること、当たり前だと思っていることが「本当に事実なのか?」 「思い込みではないか?」 に目を向ける質問です。
- 多くの場合、苦しみを生む思考により「ネガティブなイメージと感情」に悩みます。そのため、事実(起きた出来事)と思考(解釈や意味づけ)は別のものだと気づくための第一歩です。
質問2.その考えが本当であると、絶対に言い切れますか?
この質問は「はい」か「 いいえ」 で答えますので、回答例は以下になります。
「はい、そう思います」
「いいえ、そうは思いません」
- 苦しみになっている思考が、「本当に疑う余地のない事実なのか?」を探ります。
- 思考に対する絶対的な思い込みや、強いこだわりを緩めるきっかけになります。
質問3.そう考えるとき、あなたはどのように反応しますか? 何が起きますか?
この質問は思い浮かぶものをどんどん出しますので、回答は以下のようにリスト形式になります。
- 無力感を感じます
- 絶望的な気持ちになります
- 悔しくてどうしようもない気持ちになります
- むしゃくしゃして、やみくもに行動してしまいます
- 他の人がお金を稼いでいるのを見ると、うらやましく思います
- 自分には価値がないと感じます
- 将来への不安が大きくなります
- 思考により「自分がどのような反応をして、どんな行動を取るか?」「自分や周囲の人に、どんな影響を与えているか?」に気づくための質問です。
- 自分や周囲への影響に気づくことで、思考に対する絶対的な思い込みや、強いこだわりが、さらに緩まります。
質問4.その考えがなければ、あなたはどうなりますか?
この質問は思い浮かぶものをどんどん出しますので、回答は以下のようにリスト形式になります。
- 自分には価値があると感じられます
- 心が穏やかになります
- 人生が楽しく感じられます
- もっと自信を持てます
- 希望を持って行動できます
- 色々なことに挑戦してみようと思えます
- 他の人の成功を心から喜べます
- 思考を手放したことを想像し、「自分の気持ちや行動がどのように変わるか?」「周囲の人にどんな影響があるか?」に気づくための質問です。
- 思考を手放すことに対して「本当は自分はどうしたいのか?」に向き合い、選択できるようにする質問です。
置き換えの質問.その考え(思考)の反対は何ですか?
置き換えの質問は、「4つの質問を行った思考の一部」を正反対にします。
題材である「私がお金を稼ぐ能力、才能がない」の置き換え例は以下になります。
- 私はお金を稼ぐ能力、才能がある
- 私以外の人は、お金を稼ぐ能力、才能がない
※文章は意味がわからないものも出てきますが、それでOKです。思考の解放につながるきっかけをつくるために行います。
- 置き換えの質問をした後に、「4つの質問」の1と2を使って、それが本当かどうかを探ります。
- 思考に対して別の視点を持ったり、思考へのこだわりが緩んだり、事実と思考は別物だったと気づくための質問です。
参考動画:The Workの進め方
参照元:LIGHT WORKSチャンネル
「4つの質問」と「置き換えの質問」のメリットと注意点
「4つの質問」と「置き換えの質問」のメリットと注意点を知ることで、実践しやすくなり、応用もできるようになります。
- 手軽さと効果:短時間でシンプルなのに、思考を解放できる
- 事実と思考の区別:事実と思考は別物と知ることで、思考に苦しんだり、感情に飲み込まれにくくなる
- 感情の緩和:自分が何に苦しみ、何を考え、感じているかを自覚するほど、変化しやすくなる
- シンプル過ぎる:シンプルすぎて、本当に効果があるの?と考えてしまう ※変化には難しいアクションが必要。という思い込みを捨てましょう
- 苦しい感情へ向き合うことになる: 苦しい感情を言葉にすることは、自分に向き合うことになるので、慣れないうちは辛く感じる方もいます
- 感情に飲み込まれる:苦しみのレベルが強い場合、感情に圧倒されてしまう可能性があります。慣れないうちは弱めの思考を取り扱いましょう。
「4つの質問」と「置き換えの質問」の応用編
「4つの質問」と「置き換えの質問」の応用編として、より思考の解放をしやすくするためのテクニックを紹介します。
やることはシンプルで、「解放したい思考、感じている感情を、徹底的に言葉にする」 ことです。
理由は以下になります。
- 自分の内側に意識を向け、「何を考えているか?」「何を感じているか?」を言葉にするほど、自分の状態に気づける。
- 自分の状態に気づけば気づくほど、内面にアクセスしやすくなり、思考の解放を起こしやすくなる。
実はこの状態、「Rゆらぎ」を活用した方法になり、「4つの質問」と「置き換えの質問」を使う前に行うと、よりスムーズに思考を解放しやすくなります。
Rゆらぎに関しては以下をご覧ください。
Rゆらぎの実践例
Rゆらぎの実践例を紹介します。
例題として、マイクロ法人経営者が持っていた「お金に対する不安がある」という思考を例題にします。
以下のような質問をして、自分の内面に意識的になりましょう。
質問(意識的になるための質問) | 意識に上がったこと |
---|---|
どんな不安を感じているのか? | お金がない |
具体的には、どういうことか? | 売上低下により経費のほうが高くなり、あと数ヶ月で資金がショートする。怖い。 |
他にはどんな感情があるのか? | イライラしている |
何にイライラしているのか? | クライアントワークで1日が終わり、売上回復のための時間を取れていないのがイライラするし、このままだとまずいと緊迫感がある |
お金に対する不安は、本当はどこからきているのか? | 資金ショートの可能性もあるけれど、必要な行動が取れないまま時間が経過していること。それが怖い |
何が原因で自分の時間を取れなくて、感情的になっているのか? | クライアントワークに使う時間、提供価値に対して、対価が少ないので犠牲者・被害者的な感覚がある |
これらの解決策として浮かんでいるのに、止めているアイデアはないか? | 不要な経費、人間関係、交際費を削ればいい。クライアントには対価を上げる提案をする |
お金に対する不安は今回が初めてか、定期的に感じているのか? | 定期的に感じている |
お金に対してどのような思い込みを持っているか? | 自分にはお金を稼ぐのは難しい、そんな能力はない |
思い込みを持っている自分に対してどのような感情があるか? | 悔しい |
自分にとってお金とはどのようなものか? | ないと生きていけない |
自分が望んでいるのはどんな状態か? | 大きなゴールのために、お金は自動的に入ってくる状態。 |
他には? | ビジネスで売上を上げるのは簡単で、ビジネス以外からもお金が入ってくるようにする |
上記の質問はランダムに行っているように見えますが、実はいくつかの重要なポイントがあります。
- 感情を掘り下げる
- 他の感情がないかを確認する
- 何が感情的になる要因かを確認する
- 本当の問題は何かを確認する
- 感情の元になっている思い込み、自分の外側で起きていることに目を向ける
- 自分が目を背けたり、諦めた、感情や思考、思い込み、解決策、アイデアに意識を向ける
- ポジティブな感情にも目を向ける
- 関連したことは何でもいいので言葉にする
質問方法に正解はなく、今まで無自覚だったこと、目を背けたり、諦めたことに目を向けられれば大丈夫です。
意識に上がった瞬間に思考や感情が緩み、「こんなことを感じていたんだ〜」という発見が、新しい行動や自分の変化につながります。
最後にRゆらぎについて見ていきましょう。
Rゆらぎについて
Rゆらぎは変性意識に入るための方法を総称したものです。
変性意識とはトランスのことですが、自己の内面にアクセスしやすくし、感情の解放や新たな行動選択、内面的な変化を促しやすくなります。
そのため、「4つの質問」と「置き換えの質問」の効果を高めるために、「Rゆらぎ」を活用し、自身やクライアントが変性意識に入りやすい状態を作ることをお勧めします。
以下の動画がわかりやすいのでご覧ください。
Rゆらぎとは、どういう意味ですかとよく聞かれます。簡単にまとめるならば、RゆらぎのRとは、リアリティのことです。
リアリティとは、その人や自分自身がリアルだと感じていることのことです。それを揺らがせるのがRゆらぎです。
具体的には、その人が無意識で感じているであろうことを、別なモーダルチャンネル(五感のこと)で提示してあげることです。相手の無意識を、意識に上げさせるというのがポイントです。
暑そうに汗を拭いている人に、「今日は暑いですね」と言うのがRゆらぎです。皮膚感覚で無意識に味わっていることを言語で提示して、相手の聴覚と言語野に対して示すからです。
相手が無意識で感じていることを別なモーダルチャンネルに上げているからです。
相手の身につけているアクセサリーを褒めるのも、髪型を褒めるのも、一種のRゆらぎです。無意識に対して働きかける有効な方法論がRゆらぎの技術です。正確にはほとんど唯一の方法論です。
より正確には無意識に対して働きかける方法論を全て総称してRゆらぎと言います。無意識に対する働きかけを認知科学の枠組みで原理を理解できたということです。
ではどうやって他人の、もしくは自分の無意識に働きかけるのでしょうか?
それはシンプルです。その人が意識していない無意識の部分を指摘するということです。すなわち無意識を強制的に意識に上げるということです。
指摘する時は、モーダルチャンネルを変えて指摘します。ここはあまり意識しなくてもモーダルチャンネルは必然的に変わってしまうものです。
Rゆらぎを理解すれば思考もヒーリングも、催眠も、様々な魔術や超能力のからくりも、クリアに見えてきます。世界が一転しますので、是非理論と体感で理解してみてください。最初は曖昧で良いのでどんどん使っていくことです。
この記事で紹介した内容は、あなた自身はもちろん、ご家族や大切な方々、そして周囲の方々にも役立つ価値のあるものです。ぜひご活用ください。