解決思考コーチングとは?
解決思考コーチングは、問題解決に向けて最適なアクションを取れるようにするためのコーチングモデルです。
元々は1970年代後半、アメリカのウィスコンシン州ミルウォーキーにある「短期家族療法センター(BFTC)」で、スティーブ・ド・シェイザー、インスー・キム・バーグによって開発された「ソリューション・フォーカスド・ブリーフセラピー」ものです。
それまでのカウンセリングでは、問題の原因にフォーカスする傾向があり、解決に向かいにくいという背景がありました。そこで解決に向けたカウンセリングをするために生まれたのが解決思考コーチングです。
解決思考コーチングのメリット
解決思考コーチングは問題を前にしたときに、ネガティブな思考・感情に飲み込まれやすい方におすすめです。
問題を前にしたとき、ネガティブになると「なぜ?なぜ?何が悪かったの?」と原因に目を向けがちです。その結果、解決策から目がそれ、現状に自分を閉じ込めてしまいがちです。
一方で「問題解決」と「望んでいる成果」に意識を向けると解決策に気づき、行動を起こしやすくなり、下記画像のようにA地点(現状)からB地点(問題解決した上で手にしたい結果)へ移動しやすくなります。

解決志向コーチングの手順
解決志向コーチングの手順を見ていきましょう。
解決思考コーチングは、1970年代に誕生した上で、多くの人に使われて進化してきました。その結果、人により進め方に若干の違いがあります。
今、自分はどのような状態か?を明確にします。
起きている出来事、自分の内側の状態を「言葉として意識できるようにする」ことで、自分を客観視でき、変化しやすくなります。
以下のような質問を使って明確にしましょう。
- 何に対して問題だと思っているのか?
- 問題に対して、どのような感情になっているか?
- どんな感情が苦しみ、悩みになっているか?
- 今のまま時間が過ぎると、どんな未来が待っているか? など
ステップ1で挙げた問題、苦しみ、悩み、このままだとどうなるか?に対して「本当に?」を疑問を投げかけましょう。
問題や原因に目が向き、ネガティブな思考・感情になっていると、問題を大きく捉え過ぎがちです。しかし、疑問を投げかけることで、自分を客観視でき、冷静に現状を把握しやすくなります。
以下のような質問を使って明確にしましょう。
- それって本当に問題なのか?
- ネガティブな感情に飲み込まれて、過剰反応していないか?
- 本当に恐れている未来はやってくるのか? その可能性は高いのか?
- 解決のために目を向けた方がいい「本当の問題点」はなにか? など
問題解決した上でどうなりたいか?を明確にします。
どうなりたいか?を明確にすると、あなたの意識は「A地点(現状)からB地点(問題解決した上で手にしたい結果)」に切り替わります。その結果、「B地点に移動するためにどうしたらいいか?」というように、アイデアを出しやすくなります。
以下のような質問を使って明確にしましょう。
- 問題解決をして、どのような成果を出したいか?
- いつ、誰と、どのような成果を出したいか?
- なぜ、その成果を出したいか?
- その成果を出すことは、自分や関係者にとってどんな意味をもつか? など
望んでいる成果に向けて「可能性」と「リソース」を明確にしましょう。
意識が問題や原因に向いている時には気づけなかった解決策、アイデア、可能性、できることに気づくことが目的です。
以下のような質問を使って明確にしましょう。
- A地点(現状)からB地点(問題解決した上で手にしたい結果)に移動するための課題はなにか?
- 課題をクリアするためにどんなリソースがあるか?
- 課題をクリアするためにできることは何か?
- 成果につながる可能性があるのに、今までできていないことは何か?
- 課題をクリアするために誰に、どんなお願いをできそうか? など
※リソースとは成果に向けて使えそうな「能力、時間、行動、スキル、仲間、資金など、役立ちそうなものすべて」を指します。
行動計画をつくり、最初の一歩を決めましょう。
行動計画も大切ですが、特に重要なのは最初の一歩です。動き出すことで、問題解決や望んでいる成果に向けて推進力が生まれるからです。
以下のような質問を使って明確にしましょう。
- いつ、誰と、どのような行動を取るか?
- A地点(現状)とB地点(問題解決した上で手にしたい結果)との間にあるC地点(中間地点)は何か?
- 今から行える最初の一歩は何か?
- 行動管理をどのように行うか? など
解決志向コーチングのメリットと注意点
解決思考コーチングのメリットと注意点を知ることで実践しやすくなり、応用もできるようになります。
- 解決策や望んでいる成果に目を向けられる
- 自分が持っているリソースを活用しやすくなる
- 現在の自分において最適解(最善の策)を生み出しやすい
- 原因に意識が向き、現状に固定されずに済む
- 現状の自分ありきで最適解は出せても、自分の枠を超える新しいアイデア・思考・行動が生まれにくい
- 最適解なので、大きな問題、複雑な問題、状況の変化が激しい問題に対応しにくい
- 問題解決に目が向いて、本当にほしい成果から目がそれやすい
以上を踏まえると「大きい・複雑性がある・状況の変化が激しい」というような問題を前にした場合は、自分の枠を超えたアイデアを出せるようにしたいところです。
解決思考コーチングの応用編
「大きい・複雑性がある・状況の変化が激しい」というような問題を前にした場合、現状の自分ありきの最適解ではなく「今の自分のレベルを大きく超える新しいアイデア・思考・行動」が対応しやすくなります。
そこで解決思考コーチングの応用編として、問題解決への「新しい視点」と「エネルギー」を生み出す方法をご共有します。
ゴール設定で「新しい視点」と「エネルギー」を生み出す
解決思考コーチングの応用として、ゴール設定してみましょう。
方法としては、「問題解決した上で手にしたい結果」を設定していたB地点に、「現状の外側にあるゴール(現状の延長線上で手に入るゴールではなく、想像もつかない大きなもの)」を設定します。

その結果、解決思考コーチングの基本である「現状の自分ありきの最適解」ではなく、「今の自分のレベルを大きく超える新しいアイデア・思考・行動」を生み出せるようになります。
なお「現状の外側にあるゴール」と言ってしまいましたが、ゴールとは下記3点を満たすものです。
- やりたいこと(want to)である:心からやりたいことである
- 現状の外である:現状の延長線上で手に入るゴールではなく、今の自分じゃとうてい達成できないことをゴール設定する
- バランスホイール満遍なくで設定する:仕事だけ、お金だけ、家庭だけ。などではなく、各領域で満遍なくゴールを設定しましょう
ゴール設定に関しては、こちらの動画がシンプルでわかりやすいと思います。
1つ目:やりたいこと
やりたいことゴールに設定しましょう。できるかできないかではなく、やりたいかやりたくないかが重要です。
2つ目:現状の外
今の自分じゃとうてい達成できないことをゴール設定しましょう。自分が変わらないと達成できないようなゴールが、ゴールを達成するためのエネルギーを生み出します。
3つ目:バランスホイール満遍なく
満遍ないゴールは様々な側面から設定をしましょう。仕事だけ、家庭だけではなく、各領域で満遍なくゴールを設定しましょう。
あなたにとって、家族や大切な人、周囲や関わる人にとって、ベストな未来のためにお役立てください。
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