EFTタッピング(Emotional Freedom Techniques)とは?
EFTタッピングは、EFT(Emotional Freedom Techniques)というセラピー(心理療法)の代表的なスキルで、感情の解放を促す効果があります。
東洋医学の経絡や経穴(ツボ)の概念に基づいたもので、鍼を使わない感情版鍼治療とも言われています。
開発者はゲイリー・クレイグ氏(元エンジニア)です。1990年代後半に、ロジャー・キャラハン博士が「TFT(Thought Field Therapy:思考場療法)」を基に体系化しました。
慣れてくれば、5分くらいで以下のような感情を和らげてくれるため、多くの方にとって有用なテクニックだと言えるでしょう。
- ネガティブな状態を作っている感情
- 行動を止めている感情
- 幸せや成果を妨げている感情
実践方法は「解放したい感情を感じながら、身体のツボ(経穴)を指先でトントンと軽くタップする」というシンプルさが特徴で、短時間で行えます。
「本当に身体のツボをタップするだけで、苦しい感情が解放されるの?」という疑問があるかもしれませんが、以下のような考えがあり、効果が出ているのです。
- ネガティブな感情や心身の不調は、体内のエネルギーシステム(経絡)の乱れにより引き起こされる
- 複数のツボ(経穴)を指先でタッピングすることで、エネルギーの流れをスムーズにして、感情の乱れや心身の不調を整えられる
EFTタッピングの有効性について
EFTタッピングの有効性について、Wikipediaを引用し、研究やレビューを紹介します。
2016年のシステマティック・レビューでは、14のランダム化比較試験 (RCT) が見つかり、比較対照となった治療の効果の大きさを考慮しても、EFTに不安を減少する効果が確認された[6]。EFTとほかの治療法とを比較するための証拠は欠けているとされた[6]。同年のうつ病に対してのシステマティック・レビューでは、12のRCTがあり効果が確認された[7]。2017年のシステマティック・レビューは、PTSDに対する有効性を評価し、7つのRCTがあり効果が確認された[8]。偽のタッピングを行った活性プラセボを用いた複数の対照試験のメタアナリシスから、真のタッピングの方が高い効果を示した[9]。
個別の研究である。2011年にPTSDに対して、EFTをEMDRと比較するRCTが行われた。対照群の設置を補うために両方の治療グループは治療前に8週間の待機が行われ症状に変化がないことが確認された。どちらの処置を受けたグループも似たような改善が見られた
引用元:EFT – Wikipedia
以上の点を踏まえると、EFTタッピングは試してみる価値のあるスキルと言えるでしょう。
EFTタッピングの具体的な手順と方法
EFTタッピングの基本的な手順は以下の通りです。
解放したい感情を選び、言葉にする
解放したい、または緩和させたい感情を選びましょう。
何に悩んでいるかが曖昧なときほど感情に飲み込まれがちです。そのため問題となっている感情を言葉にすることで、感情に対して意識的になり、解放しやすい状態をつくれます。
感情レベルを10段階評価する
ステップ1で選んだ感情を10段階評価しましょう。
感情に対して意識的になること、EFTタッピングによる変化に気づきやすくすることが目的です。そのため10点満点中の何点かを確認しましょう。
※感情レベルの評価
- 10段階中の10:感情のレベルが最も強い状態
- 10段階中の1:感情のレベルが最も弱い状態
セットアップ
セットアップフレーズを声に出しながら、空手チョップポイントをタップしましょう。
EFTタッピング開始前に、問題や感情にフォーカスし、受け入れ、自己受容を促すために行います。使
- セットアップフレーズ:問題と感情、自己受容のフレーズを含むもので、「私は不安に思っていることがあるけれど、自分を完全に受け入れて、愛しています」のようなもの
- 空手チョップポイント:手の側面、手首から小指の下までを指し、タップ時は真ん中あたりを指でトントンと叩く
タッピング
リマインダーフレーズを声に出しながら、各タッピングポイントを7回ずつ順番にタッピングします。
タッピング中に問題や不安に意識を向けることで、タッピングの効果を最大限に引き出すために行います。
- リマインダーフレーズ:セットアップフレーズで扱った問題点や感情を短くまとめた言葉で、「この不安」「この恐れ」「このモヤモヤ」のようなもの。「不安」と感情を表す単語でも大丈夫です
- タッピングポイント:別項目として、後ほど紹介します
感情レベルを再評価する ※10段階評価
一通りタッピングした後、感情レベルを再評価し、以下のようにしましょう。
- 感情レベル0:ステップ7へ
- 感情レベルが軽減:ステップ6へ
- 感情レベルが増加:ステップ6へ
- 時間切れ:ステップ7へ
ステップ4〜5を繰り返す
感情レベルが0に近づく、または十分だと感じるまで【ステップ4〜5】を繰り返す
締めくくり
締めくくりの言葉を声に出しながら、空手チョップポイントをタップします。
解放された感情に基づき、以下のような肯定的な言葉を声に出しながら空手チョップポイントをタップします。
※例:「未来に不安はあるけれど、今日もがんばろう。」
EFTのタッピングポイント
タッピングポイント | 詳細 |
---|---|
頭の上 | 頭のてっぺん ※百会(ひゃくえ) |
眉間の上(サードアイ) | 眉毛の内側同士を結んだ線から指2~3本上あたり |
眉頭 | 眉毛の始まりの部分 ※内側 |
眉尻 | 眉毛の終わりの部分 ※外側 |
目の下 | 眼の真下の骨 ※頬骨上部 |
鼻の下 | 鼻と上唇の間 |
あごのくぼみ | 下唇のすぐ下 |
鎖骨下のくぼみ | 鎖骨の内側の下にあるくぼみ ※鎖骨下窩(さこつかか) |
脇の下 | 脇の下で、ブラジャーのストラップが当たるあたり |
※眉頭、眉尻、目の下、鎖骨下のくぼみ、脇の下などは、左右のどちらをタッピングしても構いません
EFTのタッピングの参考動画
EFTタッピングは実践している様子を見ないとイメージが付き難いため、参考動画を紹介します。
参照元は見ているだけで人生が変わるチャンネルで、チャンネル運営者の吉川ゆりさんは、EFTのセラピーをしている先生(EFTの開発者であるゲイリー・クレイグ氏から直接学んだ方)からEFTを学んだそうです。
とても分かりやすく実演してくださっていますので、ご覧ください。
EFTのタッピングのメリットと注意点
EFTのタッピングのメリットと注意点を知ることで、実践しやすくなり、応用もできるようになります。
- 手軽さと効果:短時間でシンプルに実践できるにもかかわらず、感情解放の効果が期待できます
- 感情の自覚:解放したい感情を言葉にすることで、「自分がどんな感情に苦しんでいたのか」という自己認識が得られます
- 感情の緩和:苦しんでいた感情を自覚することで、感情に飲み込まれにくくなり、解放しやすい状態になる
- 相乗効果:感情を解放しやすい状態になることで、他の感情解放ワークの効果も高まりやすくなります
- 効果が出ないケース:解放したい感情が曖昧だったり、言葉で表現できない場合、効果を実感しにくいことがあります
- 辛い感情へ向き合うことになる: 解放したい感情を言葉にすることは、自分自身や感情と向き合うことになり、慣れないうちは不安になる方もいる
- 感情に飲み込まれる:感情レベルが強すぎるテーマを扱う場合や、EFTタッピングに慣れていない場合は、感情に圧倒されてしまう可能性があります
- トラウトラウマ・PTSDの悪化:トラウマやPTSDの症状がある場合、感情レベルが強いテーマに無理に取り組むと症状が悪化する恐れがある。そのため専門家のサポートを受けながら慎重に行う必要があります。マやPTSDの場合、無理して感情レベルが強いものを扱うと、悪化するので注意が必要です。
EFTのタッピングの応用編
EFTタッピングの応用は、感情解放の効果をさらに高めるテクニックです。 ポイントは、「解放したい感情、それに伴う思考や思い込みなどを、徹底的に言葉にする」 ことです。
人は感情に飲み込まれるほど、自分が何を感じているか? なぜ、その感情を感じているのか? に対して無自覚になりがちです。これは自分の内面にアクセスできず、感情の解放や変化を促しにくい状態を招きます。
一方で、意識に目を向ければ、「今私は、こういう感情を感じていたんだ」と気づくことができます。そして連続的に気づいていくほど、内面にアクセスしやすくなり、感情解放や変化を起こしやすくなるのです。
実はこの状態、「Rゆらぎ」を活用した方法になり、徹底的に行うことで、EFTタッピングの効果をさらに高めてくれます。
Rゆらぎに関しては後ほど紹介しますので、まずは具体的な例を見ていきましょう。
実践例:感情・思考・思い込みを言葉にして、意識に上げる
Rゆらぎを使って、「解放したい感情、それに伴う思考や思い込みなどを、徹底的に意識する方法」 を紹介します。
ここでは、マイクロ法人経営者が持っていた「お金に対する不安」を例としてご紹介します。
EFTタッピングをしながら、以下のような質問をして、意識に上がった内容(自分の感情や思考・思い込み)を言葉にしていきます。
質問(意識的になるための質問) | 意識に上がったこと |
---|---|
どんな不安を感じているのか? | お金がない |
具体的には、どういうことか? | 売上低下により経費のほうが高くなり、あと数ヶ月で資金がショートする。怖い。 |
他にはどんな感情があるのか? | イライラしている |
何にイライラしているのか? | クライアントワークで1日が終わり、売上回復のための時間を取れていないのがイライラするし、このままだとまずいと緊迫感がある |
お金に対する不安は、本当はどこからきているのか? | 資金ショートの可能性もあるけれど、必要な行動が取れないまま時間が経過していること。それが怖い |
何が原因で自分の時間を取れなくて、感情的になっているのか? | クライアントワークに使う時間、提供価値に対して、対価が少ないので犠牲者・被害者的な感覚がある |
これらの解決策として浮かんでいるのに、止めているアイデアはないか? | 不要な経費、人間関係、交際費を削ればいい。クライアントには対価を上げる提案をする |
お金に対する不安は今回が初めてか、定期的に感じているのか? | 定期的に感じている |
お金に対してどのような思い込みを持っているか? | 自分にはお金を稼ぐのは難しい、そんな能力はない |
思い込みを持っている自分に対してどのような感情があるか? | 悔しい |
自分にとってお金とはどのようなものか? | ないと生きていけない |
自分が望んでいるのはどんな状態か? | 大きなゴールのために、お金は自動的に入ってくる状態。 |
他には? | ビジネスで売上を上げるのは簡単で、ビジネス以外からもお金が入ってくるようにする |
上記の質問はランダムに行っているように見えますが、実はいくつかの重要なポイントがあります。
- 感情を掘り下げる
- 他の感情がないかを確認する
- 何が感情的になる要因かを確認する
- 本当の問題は何かを確認する
- 感情の元になっている思い込み、自分の外側で起きていることに目を向ける
- 自分が目を背けたり、諦めた、感情や思考、思い込み、解決策、アイデアに意識を向ける
- ポジティブな感情にも目を向ける
- 関連したことは何でもいいので言葉にする
質問方法に正解はなく、今まで無自覚だったこと、目を背けたり、諦めたことに目を向けられれば大丈夫です。
意識に上がった瞬間に感情が緩み、「こんなことを感じていたんだ〜」という発見が、新しい行動や自分の変化につながります。
最後にRゆらぎについて見ていきましょう。
Rゆらぎについて
Rゆらぎは変性意識に入るための方法を総称したものです。
変性意識とはトランスのことですが、自己の内面にアクセスしやすくし、感情の解放や新たな行動選択、内面的な変化を促しやすくなります。
そのため、EFTタッピングの効果を高めるために、「Rゆらぎ」を活用し、自身やクライアントが変性意識に入りやすい状態を作ることをお勧めします。
以下の動画がわかりやすいのでご覧ください。
Rゆらぎとは、どういう意味ですかとよく聞かれます。簡単にまとめるならば、RゆらぎのRとは、リアリティのことです。
リアリティとは、その人や自分自身がリアルだと感じていることのことです。それを揺らがせるのがRゆらぎです。
具体的には、その人が無意識で感じているであろうことを、別なモーダルチャンネル(五感のこと)で提示してあげることです。相手の無意識を、意識に上げさせるというのがポイントです。
暑そうに汗を拭いている人に、「今日は暑いですね」と言うのがRゆらぎです。皮膚感覚で無意識に味わっていることを言語で提示して、相手の聴覚と言語野に対して示すからです。
相手が無意識で感じていることを別なモーダルチャンネルに上げているからです。
相手の身につけているアクセサリーを褒めるのも、髪型を褒めるのも、一種のRゆらぎです。無意識に対して働きかける有効な方法論がRゆらぎの技術です。正確にはほとんど唯一の方法論です。
より正確には無意識に対して働きかける方法論を全て総称してRゆらぎと言います。無意識に対する働きかけを認知科学の枠組みで原理を理解できたということです。
ではどうやって他人の、もしくは自分の無意識に働きかけるのでしょうか?
それはシンプルです。その人が意識していない無意識の部分を指摘するということです。すなわち無意識を強制的に意識に上げるということです。
指摘する時は、モーダルチャンネルを変えて指摘します。ここはあまり意識しなくてもモーダルチャンネルは必然的に変わってしまうものです。
Rゆらぎを理解すれば思考もヒーリングも、催眠も、様々な魔術や超能力のからくりも、クリアに見えてきます。世界が一転しますので、是非理論と体感で理解してみてください。最初は曖昧で良いのでどんどん使っていくことです。
このスキルは、あなた自身はもちろん、ご家族や大切な方々、そして周囲の方々にも役立つ価値のあるものです。ぜひご活用ください。